学習用の教材です。重要な判断では一次資料や専門家を確認してください。
バリュエーション
将来キャッシュとリスクを、説明可能な価値と価格に変える
社会人版位置づけと到達点
高校生でもわかる説明へ会社の値段を考えるときは、将来入るお金を今の価値に直し、借金と余分な現金を調整します。計算で得た価値と、実際に払う価格は別です。
- 利益と、事業から得られる現金は違う。
- 事業全体の価値と、株主に帰属する価値は違う。
- 将来の見通しや割引率が変わると、価値も変わる。
全体方法論
高校生でもわかる説明へ評価目的を定義
CFを整える
割引率を決定
継続価値を算定
他手法で照合
価格へ調整
感度・判断
評価の設計
高校生でもわかる説明へ何を、誰の視点で、いつ時点、どの通貨・基準で評価するかを決める。
具体的な進め方
- 企業価値と株式価値を区別する
- 支配権・流動性を確認する
- 評価日時点で利用できた情報と、その後判明した情報を区別して記録する
成果物の例
- 評価方針
- 論点表
- 前提一覧
代表KPI
未確定論点評価差異レビュー指摘典型的な失敗
- 目的に合わない手法を選ぶ
実務の問い
- 評価の設計の最大の不確実性は何か
- その不確実性はどの証拠で判定するか
- 結果を価格・計画・契約・行動のどこへ反映するか
DCF
高校生でもわかる説明へDCF(将来の現金を現在価値に直す方法)では、現金を受け取る人と割引率を揃えます。
- FCFF(借入先への支払い前の、事業全体に帰属する現金)は、WACC(株主と貸し手が求めるリターンを資金構成で加重平均した率)で割り引きます。
- FCFE(借入れ・返済も反映した、株主に帰属する現金)は、株主資本コスト(株主が求めるリターン)で割り引きます。
- どちらも、必要な設備投資などを引いた後の現金です。会計上の利益をそのまま使いません。
以下のケースはFCFFを使い、各年末に現金が得られる前提です。
割引率
高校生でもわかる説明へ通貨、国、事業、レバレッジに合うWACC・株主資本コストを設定する。
具体的な進め方
- リスクフリーと市場リスクを揃える
- 比較会社からベータを推定する
- リスクの二重計上を点検する
成果物の例
- WACC計算
- ベータ表
- リスク調整表
代表KPI
WACC資本構成スプレッド典型的な失敗
- 銀行金利をWACCにする
実務の問い
- 割引率の最大の不確実性は何か
- その不確実性はどの証拠で判定するか
- 結果を価格・計画・契約・行動のどこへ反映するか
継続価値
高校生でもわかる説明へ継続価値は、具体的に予測する期間より後に得られる現金の価値です。永久成長法は、安定した成長と必要な再投資が続くと仮定する方法です。
予測最終年時点の継続価値 = 翌年のFCFF ÷(WACC − 永久成長率)。永久成長率は長期に続く成長の割合で、WACCより小さく置きます。
この値はまだ将来時点の価値です。現在まで割り引いてから、予測期間の現金の現在価値に足します。
別の方法として、予測最終年の利益などに比較対象の倍率を掛ける方法があります。利益指標と評価対象を揃え、二つの方法の前提の違いを確認します。
マルチプル
高校生でもわかる説明へ類似会社・類似取引を選び、EV/EBITDA等で市場観を得る。
具体的な進め方
- 事業・地域・成長性を合わせる
- 会計差と一過性を調整する
- 中央値だけでなく分布を見る
成果物の例
- 比較対象企業一覧
- 倍率表
- 調整ログ
代表KPI
倍率レンジ成長差利益率差典型的な失敗
- 有名企業を比較対象にする
実務の問い
- マルチプルの最大の不確実性は何か
- その不確実性はどの証拠で判定するか
- 結果を価格・計画・契約・行動のどこへ反映するか
価格と投資判断
高校生でもわかる説明へ事業全体の価値から有利子負債を引き、事業で使わない余剰現金などを足すと、株主に帰属する価値に近づきます。ここでは他の調整項目がない単純な会社を想定します。
ネットデット(有利子負債から対象の現金を引いた純負債)を引いた場合は、同じ現金をもう一度足しません。
価値と支払価格を別々に示します。買収で生まれる追加価値(シナジー)は、実現費用・リスクも考え、単独の会社の価値と分けて検討します。
同じ数字で価値と価格を読む
高校生でもわかる説明へすべて仮想の数字で、単位は百万円です。年末のFCFFが毎年10、WACCが10%、6年目以降の成長率は0%。事業が続き、維持に必要な投資は現金10を求める際に差し引いています。
| 現金を受け取る時点 | 現在価値 |
|---|---|
| 1年目末:10 | 9.09 |
| 2年目末:10 | 8.26 |
| 3年目末:10 | 7.51 |
| 4年目末:10 | 6.83 |
| 5年目末:10 | 6.21 |
| 最初の5年の合計 | 37.91 |
6年目以降の継続価値は、5年目末時点で10 ÷(10% − 0%)=100。今の価値に直すと100 ÷ 1.10の5乗=62.09です。
借金30、事業に不要な余剰現金10、他の調整なしなら、株主に帰属する価値は100 − 30 + 10 = 80です。余剰現金は事業の現金予測には含めていません。
株式全部に90を払う場合、この前提での価値80との差は−10。追加価値や費用、契約条件を調べずに、お得と判断できません。
将来の見通しが同じでも、WACCが8%なら事業価値125、12%なら約83.33。価値は確定した正解ではなく、前提に依存する見積もりです。
成果物とKPIの運用
高校生でもわかる説明へ以下の成果物と確認指標は、評価案件に合わせて選ぶ例です。確認する時点は前提が変わったときや判断を行うときなど、案件ごとに決めます。
| # | 成果物 | 確認指標 |
|---|---|---|
| 1 | 評価方針 | 未確定論点 |
| 2 | 論点表 | 評価差異 |
| 3 | 前提一覧 | レビュー指摘 |
| 4 | DCFモデル | 継続価値比率 |
| 5 | PV内訳 | FCF転換率 |
| 6 | 価値ブリッジ | NPV |
| 7 | WACC計算 | WACC |
| 8 | ベータ表 | 資本構成 |
| 9 | リスク調整表 | スプレッド |
| 10 | TV計算 | TV/EV |
| 11 | 収束確認 | 永久成長率 |
| 12 | クロスチェック | Exit Multiple |
短時間で読む順番
高校生でもわかる説明へ- 入口で最低限の3点をつかむ。
- 統合ケースで100から80になる流れを読む。
- 必要なときにDCF・継続価値・価格の節へ戻る。難しければ右上から高校生版へ移る。
マスターチェックリスト
高校生でもわかる説明へ筆者自身の学習のために作成した、無料公開を想定する教材です。誤りが残る可能性があります。実際の投資・契約判断では、元資料や専門家の確認も用いてください。誤りが見つかれば修正します。