用語集

学習用の教材です。重要な判断では一次資料や専門家を確認してください。

TRADING COMPANY CORE SKILLS · 005

DD

投資仮説を、証拠で検証し、価格・契約・計画へ反映する

社会人版

わからない用語はこちら(2語)

調査結果を、判断へつなぐ

高校生でもわかる説明へ

DD(デューデリジェンス)は、投資・買収の判断に必要な実態調査です。

最初に押さえる3点
  • 説明を信じる前に、重要な事実を証拠で確かめる。
  • 確認できた事実と、仮説・未確認事項を分ける。
  • 結果を価格・契約・事業計画につなぎ、残る課題を引き継ぐ。

わからない用語はこちら(1語)

段階 1
投資仮説を分解
→
段階 2
重要論点を選ぶ
→
段階 3
資料・面談で検証
→
段階 4
赤旗を評価
→
段階 5
数字へ反映
→
段階 6
契約へ反映
→
段階 7
残課題を引継ぐ
ゲートの考え方:各ステップで、次へ進む条件・追加検証・停止条件を明文化する。資料完成ではなく、意思決定の質を成果とする。
テーマ 01

DD(デューデリジェンス)は、投資・買収の判断に必要な実態調査です。まず「顧客が続く」「利益が続く」などの仮説と、取引を進められない重大条件を決めます。

その条件に照らし、資料、契約、説明などの証拠を比べます。未回答は未回答のまま残し、調べた範囲・情報の時点・制約を記録します。資料が揃っただけで安全と判定しません。

テーマ 02

売上が伸びていても、1社の大口顧客や大幅な値引きに頼っているかもしれません。顧客別売上、請求・入金、契約の期間や更新条件を突き合わせます。

説明と記録が違えば、理由と追加証拠を確認します。顧客が離れる可能性は、確定した売上減と分けて事業計画の悪い場合に反映します。

テーマ 03

正常化とは、一度だけの収入や費用などを分け、通常の状態の利益へ調整することです。QoE(Quality of Earnings、利益の質の分析)は、一時的な損益や会計方針の変更などを点検し、事業本来の収益力を見極めます。利益が現金につながるかは、現金の創出と運転資本も別に調べます。

EBITDA(利払い・税・減価償却前の利益)は現金そのものではありません。借金、在庫や売掛金、帳簿に載っていない債務、税の問題も別に確認します。

ネットデットは、有利子負債から取引で対象とする非事業用の現金等を引いた純負債です。現金に近い資産、負債に近い項目、運転資金に使う項目の分類は契約上の定義と揃え、同じ項目を価格に二度反映しません。監査は買収のあらゆるリスクの保証ではありません。

テーマ 04

重要な顧客契約、事業に必要な許認可、訴訟、人材・労務、環境・人権の問題を確認します。ESGは環境・社会・企業統治の観点です。

Change of Control条項(会社の支配者が変わるときの契約条件)があれば、取引先の同意が必要か、解除の可能性があるかを確認します。すべての契約に同じ条件があるわけではありません。

法律・税務の結論は、契約と対象地域の制度を専門家が確認します。法律上の問題がなくても、重要な人が辞めると事業が続かない場合があります。

テーマ 05

IT(情報技術)について、誰がシステムを所有し、何に依存し、安全に運用できるかを確認します。実際に動く画面だけでは、保守切れや脆弱性(攻撃され得る弱点)はわかりません。

移行や分離が必要なら、その費用と期間も見込みます。TSA(移行期間のサービス提供契約)を使う場合は、提供範囲・費用・終了条件を確認します。

テーマ 06

意思決定への反映

高校生でもわかる説明へ

「事実と証拠 → 事業への影響 → 対応 → 責任者と期限」を一つにつなぎます。未確認事項を確定した事実として扱いません。

価格と計画の見直し、契約の表明保証(一定の事実を契約で表明し保証する条項)や補償(損失への対応条件)、取引実行前の条件、取引後の対策を分けます。契約を書けばリスクが消えるわけではありません。

PMI(買収後の統合)へ未解決事項を引き継ぎ、重要な問題が解消しない場合は延期や見送りも判断します。

同じケースで判断の流れを読む

高校生でもわかる説明へ

すべて仮想の数字で、単位は百万円です。年間売上100のうち顧客Aが40。変動費(売上に比例して変わる費用)は売上の60%、固定費(この例では売上が変わっても同額)は30。この簡略例の基本ケースの利益は100 − 60 − 30 = 10です。

顧客Aとの契約が更新されないかもしれない、という未確認事項が見つかったとします。契約書と更新状況を確認し、失注はまだ確定していないと記録します。

Aを失う場合の利益:60 − 36 − 30 = −6

売上は100 − 40 = 60、変動費は60 × 60% = 36。利益は10から−6へ16下がります。代替顧客や固定費削減は見込まない仮定です。

この−16は、会社の価値や買収価格をそのまま16下げる意味ではありません。継続期間・現金・対策を事業計画へ反映し、価値を再評価して価格を交渉します。

対応例:調査担当が証拠と影響を記録 → 案件責任者が価格・取引前の条件を検討 → 契約担当が合意条件を文書化 → 買収後の担当が顧客維持策を引き継ぐ。同じ損失を価格と補償で二重に見込まないよう確認します。

成果物と確認指標の例

高校生でもわかる説明へ

KPI(重要な状態を把握するための指標)は、未回答や遅延などを早く発見するために使います。以下の表は選択肢の例で、全項目を作成・計測する要件ではありません。目的と重要なリスクに合う項目を選び、定義・証拠・担当・見直す基準と頻度を案件の節目・期限に応じて決めます。

#成果物の例確認指標
1DD計画重要論点完了率
2論点ツリー未回答数
3依頼資料一覧期限超過
4市場検証解約率
5顧客分析顧客集中度
6売上品質分析受注転換率
7QoE正常化差額
8ネットデット表運転資本差額
9税務論点潜在税額
10赤旗報告重大違反数
11人材リスク退職リスク
12許認可一覧潜在債務
注意:KPIは報告のためではなく、異常を早く発見し、行動を変えるために使う。指標ごとに定義・データ源・責任者・閾値を置く。

短時間で読む順番

高校生でもわかる説明へ
  1. 入口で最低限の3点をつかむ。
  2. 具体例で、証拠から判断・行動につなぐ流れを読む。
  3. 必要な項目へ戻る。難しければ右上から高校生版へ移る。

マスターチェックリスト

高校生でもわかる説明へ

筆者自身の学習のために作成した、無料公開を想定する教材です。誤りが残る可能性があります。重要な判断では元資料と専門家の確認をお願いします。誤りが見つかれば修正します。