学習用の教材です。重要な判断では一次資料や専門家を確認してください。
会社を買っただけでは、まだ成功じゃない。
別々だった2つの会社が、強みをなくさずに一緒に働き、買収前より良い会社になる。そのための方法がPMIです。
PMIって、そもそも何?
社会人向けの説明へPMI(Post-Merger Integration、合併・買収後の統合)は、買収の目的を実現するために、人・仕事・仕組みを整える取組です。成立前から準備し、成立後も成果を確認します。
- 必要な部分をつなぎ、顧客・人材・事業の強みを守る。
- 最初の日は受注・供給・支払を止めず、担当と判断者を明確にする。
- 売上、利益、現金、統合費用を分け、実際の成果を証拠で見る。
文化祭でたとえると一発でわかる
社会人向けの説明へ2年A組は「たこ焼き」が得意。2年B組は「宣伝」が得意。そこで2クラス合同で大きなお店を出すことになりました。
A組の強み
おいしい、調理が速い、材料の仕入れが上手。
B組の強み
SNS、看板、接客が上手で、お客さんを集められる。
ただし、店長を誰にするか、売上をどう分けるか、制服をどちらに合わせるかでケンカになるかもしれません。調理方法をB組方式に無理やり変えたら、A組のおいしさが消えるかもしれません。
B組は集客
なぜ買収は失敗するの?
社会人向けの説明へ高く買いすぎる
将来の成長を期待しすぎて、回収できない値段を払う。
大事な人が辞める
何も説明されず、不安になった優秀な社員が去る。
文化が衝突する
「うちのやり方が正しい」と買った側が押しつける。
システムが止まる
パソコンや会計を急に変え、注文や支払いが止まる。
お客さんが離れる
担当や商品が変わり、「前の方が良かった」と思われる。
成果を測らない
会議だけ増えて、買収前より良くなったか誰も知らない。
何でも合体させればいいわけではない
社会人向けの説明へ| タイプ | 高校生活のたとえ | 会社での使い方 |
|---|---|---|
| 完全統合 | 2クラスを1クラスにする | 同じ仕事が重複し、コスト削減が目的 |
| 一部統合 | 会計と宣伝だけ合同 | 営業・調達・ITなど必要部分だけ共通化 |
| 独立維持 | 別クラスのまま協力 | ブランド、技術、スピードを守りたい |
| 新チーム創造 | 両クラスの良い方法で新組織 | どちらかに合わせず新しい会社を作る |
決め方はシンプル
価値が出ない?
強みが壊れない?
見合う?
選ぶ
PMIはいつ、何をするの?
社会人向けの説明へ買収を考える段階から目的・リスク・守る強みを調べ、最初の日の運営を準備します。契約の署名だけでは取引が完了していない場合があります。
Day 1は、この資料では買収成立後の最初の運営日。受注・給与・支払・問い合わせ先を止めない日です。Day 100は約3か月の計画目安で、全部を100日で終えるという意味ではありません。
成立前の情報共有や共同の仕事は、契約と法律の確認に従います。準備だからといって相手の価格や営業を自由に決められるわけではありません。
Day 1に確認したいこと
社会人向けの説明へ会社を全部買う場合と、一部だけ出資する場合では、必要な確認が違います。次は初日の確認例です。
人
上司、仕事、給料、相談先を明確にする。
お客さん
商品、担当、契約、サポートを止めない。
お金
入金、支払、銀行口座、承認を動かす。
IT
メール、ID、データ、安全を確保する。
ルール
法律、許可、契約、社内ルールを守る。
説明
変わる・変わらない・未定を伝える。
Day 1の確認例
PMIは誰が進めるの?
社会人向けの説明へ経営者は目的と重要な判断を担当し、営業・人事・情報技術などの担当者が各分野を進めます。IMO(Integration Management Office、統合の進行・調整を担う事務局)を置く場合は、分野をまたぐ課題・期限・判断待ちを整理します。
案件の規模に応じた体制で構いません。専任の大きな事務局を必ず作るという意味ではありません。誰が決め、誰が実行し、誰へ相談するかを明確にします。
シナジーとは「1+1を2より大きくすること」
社会人向けの説明へ売上シナジー
A社の商品をB社のお客さんにも売る。新しい国で売る。商品を組み合わせる。
コストシナジー
同じ倉庫を使う。まとめて安く仕入れる。重複するシステムを減らす。
いちばん難しいのは、人と文化
社会人向けの説明へ会社の文化とは、社訓よりも「普段どうやって決めるか」です。
| A社 | B社 | 起きること |
|---|---|---|
| 上司が決める | 現場がすぐ決める | B社は「遅い」、A社は「勝手」と感じる |
| 失敗を避ける | まず試す | 新商品開発で衝突 |
| 個人成績を重視 | チーム成果を重視 | 営業協力が進まない |
文化の違いを扱う進め方の例
不安をゼロにできなくても、放置しない
社会人向けの説明へ買収される会社の社員は、「クビになる?」「給料は?」「会社名は?」「上司は?」と考えます。全部未定でも、黙ってはいけません。
良い伝え方
- 決まったこと
- 変わらないこと
- まだ決まっていないこと
- 誰がいつ決めるか
- 質問できる場所
悪い伝え方
- 「何も変わりません」と断言
- 発表後に長く沈黙
- 人によって説明が違う
- 社員より先に報道で知る
- 質問へ精神論で回答
PMIの成功はどう測る?
社会人向けの説明へ会社の健康
売上、利益、現金、品質、事故。
買収の成果
シナジー、成長、新商品、コスト削減。
人と顧客
退職、満足度、解約、苦情。
| 悪い測り方 | 良い測り方 |
|---|---|
| 会議を20回した | 重要な判断が期限内に終わった |
| タスクを90%完了 | 顧客解約を防ぎ、粗利益が増えた |
| システムを統合した | 仕事が速くなり、費用が減った |
| 研修を全員受講 | 実際のルール違反が減った |
同じ数字で、利益と現金を分けて読む
社会人向けの説明へ架空の例です。コンビニ会社がパン屋を買い、販売先と配送をつなぎます。パンの製法・職人・ブランドは守ります。以下の数字は百万円で、実企業の実績ではありません。
| 同じ1年間の増分 | 金額 | 考え方 |
|---|---|---|
| 追加売上 | 100 | 比較の基準は「買収しなかった場合」 |
| 追加売上の粗利益 | 30 | 売上100 × 粗利益率30% |
| 費用削減 | 8 | 基準と比べた同じ期間の削減 |
| 追加運営費・既存事業の利益減 | −6、−4 | 増える負担も差し引く |
| 継続的な利益の増加 | 28 | 30 + 8 − 6 − 4 |
| 初年度だけの移行費 | −20 | この例では同年の費用と支払い |
移行費も引いた初年度の利益増加は8です。売上100、毎年続く効果28、初年度の効果8を混ぜて報告しません。
在庫を減らして現金5を一度回収できると仮定します。これは利益に足しません。税・設備投資・他の運転資金変化がなく、上の利益と入出金が同年に対応する簡略条件なら、初年度の追加現金は8 + 5 = 13です。
担当者は、売上・費用・在庫の証拠と、買収しなかった場合の見込みを比較します。数量や為替など外部の変化、別施策の効果、同じ費用削減の重複を除きます。単年の利益や現金は、買収価格を差し引いた投資価値そのものではありません。
PMI用語をやさしく言うと
社会人向けの説明へ| 用語 | やさしい意味 |
|---|---|
| Deal thesis | なぜこの会社を買えば勝てるのかという作戦 |
| Integration thesis | 買ったあと、何を変え、何を残すかという作戦 |
| IMO | 置く場合に統合の進行・調整を担う事務局 |
| Workstream | 営業、人事、ITなど分野別チーム |
| Synergy | 一緒になることで増える売上・利益・能力 |
| Day 1 | 買収成立後の最初の日 |
| Day 100 | 最初の約3か月で重要事項を軌道に乗せる計画 |
| Target Operating Model | 新しい会社の仕事・役割・決め方の設計図 |
| BAU | 特別プロジェクトではない普段の仕事 |
| Exit criteria | 「ここまでできたら完了」とする条件 |
最後に、これだけ覚えよう
社会人向けの説明へ- 必要な部分をつなぎ、製法・人材・顧客などの強みを守る。
- 最初の日に受注・供給・支払を止めない。
- 売上・利益・現金・移行費を分けて成果を見る。
すべてを一つの会社・同じ制度にすることが目的ではありません。独立性を守りながら協力する形もあります。