用語集

学習用の教材です。重要な判断では一次資料や専門家を確認してください。

買収後統合の入門ガイド

会社を買っただけでは、まだ成功じゃない。

別々だった2つの会社が、強みをなくさずに一緒に働き、買収前より良い会社になる。そのための方法がPMIです。

わからない用語はこちら(1語)

PMIって、そもそも何?

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PMI(Post-Merger Integration、合併・買収後の統合)は、買収の目的を実現するために、人・仕事・仕組みを整える取組です。成立前から準備し、成立後も成果を確認します。

最初に押さえる3点
  • 必要な部分をつなぎ、顧客・人材・事業の強みを守る。
  • 最初の日は受注・供給・支払を止めず、担当と判断者を明確にする。
  • 売上、利益、現金、統合費用を分け、実際の成果を証拠で見る。
章 02

文化祭でたとえると一発でわかる

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わからない用語はこちら(1語)

2年A組は「たこ焼き」が得意。2年B組は「宣伝」が得意。そこで2クラス合同で大きなお店を出すことになりました。

🐙

A組の強み

おいしい、調理が速い、材料の仕入れが上手。

📣

B組の強み

SNS、看板、接客が上手で、お客さんを集められる。

ただし、店長を誰にするか、売上をどう分けるか、制服をどちらに合わせるかでケンカになるかもしれません。調理方法をB組方式に無理やり変えたら、A組のおいしさが消えるかもしれません。

PMIの仕事
共通のゴール売上1位・満足度1位
役割分担A組は調理
B組は集客
共通ルール値段・会計・衛生
強みを守るレシピとSNS力
結果を測る売上・利益・評判
つまりPMIとは:全部を同じにすることではなく、勝つために必要なところだけをつなぐこと。
章 03

なぜ買収は失敗するの?

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💸

高く買いすぎる

将来の成長を期待しすぎて、回収できない値段を払う。

🚪

大事な人が辞める

何も説明されず、不安になった優秀な社員が去る。

😡

文化が衝突する

「うちのやり方が正しい」と買った側が押しつける。

🧑‍💻

システムが止まる

パソコンや会計を急に変え、注文や支払いが止まる。

🫥

お客さんが離れる

担当や商品が変わり、「前の方が良かった」と思われる。

📊

成果を測らない

会議だけ増えて、買収前より良くなったか誰も知らない。

最大の敵:買収したこと自体を成功だと思い込むこと。成功は「買った」ではなく「価値が増えた」で判定します。
章 04

何でも合体させればいいわけではない

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わからない用語はこちら(2語)

タイプ高校生活のたとえ会社での使い方
完全統合2クラスを1クラスにする同じ仕事が重複し、コスト削減が目的
一部統合会計と宣伝だけ合同営業・調達・ITなど必要部分だけ共通化
独立維持別クラスのまま協力ブランド、技術、スピードを守りたい
新チーム創造両クラスの良い方法で新組織どちらかに合わせず新しい会社を作る

決め方はシンプル

統合する? 残す?
質問1一緒にしないと
価値が出ない?
質問2一緒にすると
強みが壊れない?
質問3費用と混乱に
見合う?
判断統合・連携・保全を
選ぶ

PMIはいつ、何をするの?

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買収を考える段階から目的・リスク・守る強みを調べ、最初の日の運営を準備します。契約の署名だけでは取引が完了していない場合があります。

検討・調査 → 契約後も準備 → 条件確認と取引成立 → 初日の継続 → 段階的な改善

Day 1は、この資料では買収成立後の最初の運営日。受注・給与・支払・問い合わせ先を止めない日です。Day 100は約3か月の計画目安で、全部を100日で終えるという意味ではありません。

成立前の情報共有や共同の仕事は、契約と法律の確認に従います。準備だからといって相手の価格や営業を自由に決められるわけではありません。

章 06

Day 1に確認したいこと

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わからない用語はこちら(1語)

会社を全部買う場合と、一部だけ出資する場合では、必要な確認が違います。次は初日の確認例です。

👥

人

上司、仕事、給料、相談先を明確にする。

🛒

お客さん

商品、担当、契約、サポートを止めない。

💳

お金

入金、支払、銀行口座、承認を動かす。

💻

IT

メール、ID、データ、安全を確保する。

⚖️

ルール

法律、許可、契約、社内ルールを守る。

📢

説明

変わる・変わらない・未定を伝える。

Day 1の確認例

PMIは誰が進めるの?

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経営者は目的と重要な判断を担当し、営業・人事・情報技術などの担当者が各分野を進めます。IMO(Integration Management Office、統合の進行・調整を担う事務局)を置く場合は、分野をまたぐ課題・期限・判断待ちを整理します。

案件の規模に応じた体制で構いません。専任の大きな事務局を必ず作るという意味ではありません。誰が決め、誰が実行し、誰へ相談するかを明確にします。

章 08

シナジーとは「1+1を2より大きくすること」

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わからない用語はこちら(1語)

📈

売上シナジー

A社の商品をB社のお客さんにも売る。新しい国で売る。商品を組み合わせる。

✂️

コストシナジー

同じ倉庫を使う。まとめて安く仕入れる。重複するシステムを減らす。

シナジーを「夢」から「仕事」に変える
アイデア一緒なら売れそう
数字誰に何個、いくら?
担当責任者は誰?
期限いつ実現?
証拠本当に利益が増えた?
「売上を10億円増やす」だけでは計画になりません。仮の例なら「A社の営業部長が、B社の既存顧客50社へ新商品を提案し、来年までに粗利益1億円の増加を目指す」と書き、需要・追加費用・実現可能性を確かめます。
注意:売上が増えても、広告費や人件費がそれ以上に増えたら意味がありません。最後は利益と現金で確認します。
章 09

いちばん難しいのは、人と文化

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会社の文化とは、社訓よりも「普段どうやって決めるか」です。

A社B社起きること
上司が決める現場がすぐ決めるB社は「遅い」、A社は「勝手」と感じる
失敗を避けるまず試す新商品開発で衝突
個人成績を重視チーム成果を重視営業協力が進まない

文化の違いを扱う進め方の例

観察実際の行動を見る
選択残す行動を決める
仕組み権限・評価を変える
見本上司が実行する
確認行動が変わったか
大事:「仲良くしよう」だけで済ませず、決め方・会議・評価・報酬が実際の行動にどう影響しているかを確かめ、必要なところを調整します。
章 10

不安をゼロにできなくても、放置しない

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買収される会社の社員は、「クビになる?」「給料は?」「会社名は?」「上司は?」と考えます。全部未定でも、黙ってはいけません。

良い伝え方

  • 決まったこと
  • 変わらないこと
  • まだ決まっていないこと
  • 誰がいつ決めるか
  • 質問できる場所

悪い伝え方

  • 「何も変わりません」と断言
  • 発表後に長く沈黙
  • 人によって説明が違う
  • 社員より先に報道で知る
  • 質問へ精神論で回答
伝え方の例:「雇用制度は今日は変わりません。来年度の制度は今後3か月で検討し、決まったことと未決事項を3か月後までに人事責任者から説明します。」
章 11

PMIの成功はどう測る?

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会社の健康

売上、利益、現金、品質、事故。

買収の成果

シナジー、成長、新商品、コスト削減。

人と顧客

退職、満足度、解約、苦情。

悪い測り方良い測り方
会議を20回した重要な判断が期限内に終わった
タスクを90%完了顧客解約を防ぎ、粗利益が増えた
システムを統合した仕事が速くなり、費用が減った
研修を全員受講実際のルール違反が減った
「やった量」ではなく「良くなった結果」を測る

同じ数字で、利益と現金を分けて読む

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架空の例です。コンビニ会社がパン屋を買い、販売先と配送をつなぎます。パンの製法・職人・ブランドは守ります。以下の数字は百万円で、実企業の実績ではありません。

同じ1年間の増分金額考え方
追加売上100比較の基準は「買収しなかった場合」
追加売上の粗利益30売上100 × 粗利益率30%
費用削減8基準と比べた同じ期間の削減
追加運営費・既存事業の利益減−6、−4増える負担も差し引く
継続的な利益の増加2830 + 8 − 6 − 4
初年度だけの移行費−20この例では同年の費用と支払い

移行費も引いた初年度の利益増加は8です。売上100、毎年続く効果28、初年度の効果8を混ぜて報告しません。

在庫を減らして現金5を一度回収できると仮定します。これは利益に足しません。税・設備投資・他の運転資金変化がなく、上の利益と入出金が同年に対応する簡略条件なら、初年度の追加現金は8 + 5 = 13です。

担当者は、売上・費用・在庫の証拠と、買収しなかった場合の見込みを比較します。数量や為替など外部の変化、別施策の効果、同じ費用削減の重複を除きます。単年の利益や現金は、買収価格を差し引いた投資価値そのものではありません。

章 13

PMI用語をやさしく言うと

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用語やさしい意味
Deal thesisなぜこの会社を買えば勝てるのかという作戦
Integration thesis買ったあと、何を変え、何を残すかという作戦
IMO置く場合に統合の進行・調整を担う事務局
Workstream営業、人事、ITなど分野別チーム
Synergy一緒になることで増える売上・利益・能力
Day 1買収成立後の最初の日
Day 100最初の約3か月で重要事項を軌道に乗せる計画
Target Operating Model新しい会社の仕事・役割・決め方の設計図
BAU特別プロジェクトではない普段の仕事
Exit criteria「ここまでできたら完了」とする条件

最後に、これだけ覚えよう

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  • 必要な部分をつなぎ、製法・人材・顧客などの強みを守る。
  • 最初の日に受注・供給・支払を止めない。
  • 売上・利益・現金・移行費を分けて成果を見る。

すべてを一つの会社・同じ制度にすることが目的ではありません。独立性を守りながら協力する形もあります。